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これまで認知症の治療方法が確立してこなかった理由が明らかになるかもしれない。「これまでにアルツハイマー型認知症と診断されていた人の中には、実は新たに発見された種類の認知症だった人が多く含まれている」
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1.【「LATE」という認知症が発見された】
2.【症状 ~ 「LATE」患者とアルツハイマー患者】
3.【病理 ~ 「LATE」患者とアルツハイマー患者】
4. 【「LATE」の発見はどういう意味をもつのか】
5. 【時間がかかる】
【展開】
1. 【「LATE」という認知症が発見された】
昨年、アルツハイマーとされた人の死後の脳を調べたところ、最大で3分の1が似て非なる病気だったとする研究が発表されました。この病気は「LATE(レイト)」と呼ばれ、85歳にもなると4人に1人がレイトだそうです。
2.【症状 ~ 「LATE」患者とアルツハイマー患者】
2.1.【同じ】他のタイプの認知症同様、「LATE」も健忘を呈し、日々の活動に関係する認知領域にも影響は派生します
2.2.【違う】
2.2.1. 「LATE」は、特に80歳以上の高齢者に見られます。2.2.2. 「LATE」患者はアルツハイマー患者と比べ、その進行が遅いことが分かっています。
2.2.3. 「LATE」とアルツハイマーを併存する患者は進行がより早く、重度の症状がでます。
2.2.4. 「LATE」患者では、エピソード記憶に関し目立つ歪みが現れます。
2.2.5. また特に後期になると、他の機能の症状も重くなってきます。
3.【病理 ~ 「LATE」患者とアルツハイマー患者】
3.1. 「LATE」とは、大脳辺縁系優位型老年期TDP-43脳症の略称です。蛋白TDP-43と関係します。TDP-43は、RNAとDNAをつなぐ蛋白で、遺伝子の発現調整における複数の機能を持ちます。
3.2. LATEはTDP-43と呼ばれるたんぱく質に由来する。一方、アルツハイマー型はアミロイドとタウというたんぱく質と関連がある。
3.3. TDP-43蛋白症と純粋な進行性健忘には関係性があり、アルツハイマーと非常に類似しています。TDP-43蛋白症を患うと、正常な免疫反応や細胞質への移動が失われます。また、蛋白の異常な蓄積が見られます。
4. 【「LATE」の発見はどういう意味をもつのか】
4.1. 例えば、80歳以上で重度のアルツハイマーを患う人における認知機能の低下は予想を超えるものがあります。そこでこの新しいタイプの認知症がこういった現象を説明してくれています。
4.2. アルツハイマーと診断された人の多くが実は「LATE」である可能性を見極める必要があります。
4.3. 「アルツハイマー型に有効だといわれていた試験薬はLATEには効果がない。これは今後の試験で、被験者に重要な選択をもたらすだろう」「認知症の症状はさまざまな病気が原因で起こることがわかっており、どの原因がどんな認知症を引き起こすのかを知ることが、治療法の開発には不可欠だ。そういった意味で、この研究は重要だ」
5. 【時間がかかる】
5.1. 生きた生体内の蛋白の変性を観察する脳画像装置がまだありません。
5.2. 生前診断が極めて難しく、死後病理解剖にて診断されます。
5.3. また治療法も確立していません。
<出典>
新たに発見された認知症「LATE」(2020年2月21日)
https://kokoronotanken.jp/aratani-hakken-sareta-ninchishou-late/
約過半数弱がアルツハイマー病ではなく、Late (大脳辺縁系優位型老年期TDP-43脳症)だった?
https://kikukawa-cl.jp/column/約過半数弱がアルツハイマー病ではなく、late-大脳
アルツハイマー患者、実は別の種類の認知症か=国際研究
https://www.bbc.com/japanese/48116477
朝田隆 講演
市民講座「いつまでもイキイキ脳! ~みんなでささえあう認知症~」産経新聞(2020/03/09)
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