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緩和ケア病院と自宅療養の双方のメリット・ディメリットをよく検討することはよいことだけれど、状況が不明、あるいは未定のまま、緩和ケア病院と自宅療養とのどちらが良いかを予め決めることは、意味がないだろう
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前々回「大好きだから何かしてあげたい」、前回「お母さんの横で寝たい」と一連の話です。
40代で、悪性腫瘍を患っていた女性。最後の時期には緩和ケア病棟への入院を望んでいたが、病状は比較的落ち着いていて苦痛も少なく、ご家族皆さんで支えておられたので、自宅療養とすることになった。
体の状態はもう最終的な状態。もはやせん妄も出ないほどの意識状態になっていた。残りの時間は非常に短いものとなってきた。
===== 引用はじめ 一部、箇条書き形式に変更
ご家族が集まる時間帯に合わせてご家族に「看取り勉強会」を行いました。ご主人のご両親、ご主人、3人のお子さんの内2人が参加してくださいました。勉強会では、
①
これから起こることは自然なことで、悪いことではないこと、
②
大きな苦痛はおそらく感じておられないこと
③
苦しそうなときの対処法、
④
そして日常での接し方
などをお伝えします。
===== 引用おわり
その結果が、前回紹介した、子どもの接し方に繋がりました。本人にとっても家族にとっても、良かったと感じました。もしそうなら、緩和ケア病棟への入院から自宅療養に「変更した」のが、良かったことになります。
緩和ケア病院と自宅療養の双方のメリット・ディメリットをよく検討することはよいことだけれど、最終的にどちらが良いか決めるための方程式はありません。状況によって変わります。どのような状況になるかは、ある程度予想はできるが、現実には外れることもあるでしょう。
この事例でも、もしも「看取りの勉強会」が無かったら、自宅療養を悔やむことになっていたかも知れません。
状況が不明、あるいは未定のまま、緩和ケア病院と自宅療養とのどちらが良いかを議論することは、意見を交換したり論点を整理したりする意味はあるが、そこから出された結論には意味がないでしょう。
<出典>
尾崎容子、「大好きだから何かしてあげたい」
【在宅善哉】 産経新聞(2020/08/22)
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