★ 「 遺伝子 が真に 利己的 であるためには、 利他的 に自ら死ねる 自死的 な存在でなければならない」という難解なテーマを解説。求めるべきは 不老不死 ではなく、 死の意味 を 問い直し 、 有限の時間 を 生きる意味 を知ることではないのか
新しい細胞が生まれ、古い細胞が死ぬことにより、現在の私の体がある。そこで、生まれたての私を構成していた細胞は、すべて既に死に絶えた。それでも、一貫して私がある。もしも古い細胞が交代することを拒否していたら、私は、とっくの昔に死んでいた。
幸か不幸か、私は、死ぬことを拒否できず、いずれ死んでいく。しかし、それは、人類が生き続けるために必要なことなのだ。
もしも、他に何らかの影響を与えることが、存在することの要件であるならば、私は、死んでも存在し続ける。
===== 引用はじめ
「遺伝子が真に利己的であるためには、利他的に自ら死ねる自死的な存在でなければならない」という難解なテーマを、わかりやすく解説してくれる。生存に有利な新しい個体が生まれた場合、元の個体の存在は害悪でしかない。多細胞生物は死によって次世代の生を更新しているのだ。
生命科学の発達著しい昨今だが、われわれが求めるべきは不老不死ではなく、科学を通して死の意味を問い直し、有限の時間を生きる意味を知ることではないのかと著者はいう。
人生の意味を探るのは哲学の専売特許ではないことを知る一冊。
===== 引用おわり
<出典>
作家 北康利 個体の死が支える種の繁栄『生物はなぜ死ぬのか』
【本ナビ+1】産経新聞(2021/05/15)
https://www.sankei.com/life/news/210515/lif2105150006-n1.html
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