2021年8月13日金曜日

(K1566) 定年後生活態度が変わらぬ父。自分から変わることを望む

 【 定年後 ・ 家事をしない 】 定年退職しても家事をしない父、それを「いいのよ」と言う母。父の不機嫌な声を聞くだけで動機がし、震えるようになった私。何もしない父が自分から変わろうと思ってくれるのを望むのは、浅はかでしょうか


 人生相談で、3人が登場します。【相談者から見た3人】に対して、【回答者の見た3人】は違っています。父、母、夫婦のあり方を否定的に見ている相談者へ、回答者は、父は変わることはない、母は惨めでかわいそうな人ではない、世の中にはさまざまな夫婦のかたちがあると述べたのち、「だから心配はいらない。あなたは、彼女の人生をそのまま踏襲する必要はないが、彼女の処世術からヒントをくまれてもいいのではないでしょうか。」とアドバイスします。

 

【相談者から見た3人】

(1)    

 現役の頃から父は家事をほとんど全て母に任せきり。退職後もまったく変わりません。用意された食事を前に箸がなければ「箸」と言い、お風呂のあとの着替えさえ自分で用意しません。父は母にお礼も言わないし、最近は返事をしなかったり、物の扱い方が乱暴だったりします。

(2)    

 「自分のことはやってもらったら」と母に言うのですが、母も退職して時間があるため、「いいのよ」と言われます。私が父に言っても無駄でした。母は父の機嫌を損ねないように様子をうかがいます。

(3)     相談者(30代女性)

 定年退職をした父のことで相談します。私は父の不機嫌な声を聞くだけで動悸がし、震えるようになりました。何もしない父が自分から変わろうと思ってくれるのを望むのは、浅はかでしょうか。

 

【回答者の見た3人】

(1)    

 一般的に人は、何か強い痛み・苦しみを感じると、切実に現状・自分を変えようとします。裏を返せば、そうでなければ、なかなか変わりえない。彼から変わることはそうそうない。

(2)    

 母はどうか。ただただ惨めでかわいそうな人なのか。答えは「いいのよ」という返事の中に隠されています。おそらく彼女は、自身の未来に絶望・達観してこう言ったのではない。このような境遇に忍従することを″主体的に〃選び取ってきているのです。

(3)     相談者(30代女性)

 あなたの抱えているもどかしさ、とてもよく伝わってきます。旧態依然とした父の亭主関自ぶり、それにかしずくように振る舞う母。あなたが築いていくであろう将来の家族像に彼らを投影しても、全く明るい未来が描けないということですね。

 

【相談者へのアドバイス】

 世の中にはさまざまな夫婦のかたちがある。あなたの母は実はとても強い人で、一見抑圧的な関係性のなかでも、たくましくしなやかに生き延びておられるのです。だから心配はいらない。

 あなたは、彼女の人生をそのまま踏襲する必要はないが、彼女の処世術からヒントをくまれてもいいのではないでしょうか。

 

<出典>

定年後、生活態度が変わらぬ父

【人生相談 あすへのヒント】 産経新聞(2021/09/08)



0 件のコメント:

コメントを投稿