2021年8月18日水曜日

(K1571) 趣味とどう向き合うか / 老人力(17)

 【 読書 ・ 老人力 】 ピカソ の方が 前衛的 な感じで、 フランコ 独裁に抗議する大作「 グルニカ 」を描いているし、後には 朝鮮戦争 に抗議する絵も描いているし、やっぱり凄いと思っていた。やっぱり思想があるんだ、と思っていた


 「趣味というのは自分だけの楽しみで、世の中には何もコミットしないじゃないか」「趣味を軽蔑していたのだ」 … 私(藤波)にも、同じ感覚がある。

 趣味をたしなむには、なんらかの「力」が必要なようだ。その「力」が「老人力」とどう関係するかは、次回。

 

===== 引用はじめ

 ぼくはむかし趣味を軽蔑していた。

 趣味というのは自分だけの楽しみで、世の中には何もコミットしないじゃないか、と思ってばかにしていた。

 趣味よりも思想の方が偉いと思っていた。

 思想とか革命とか、前衛芸術とか、そういうものの方が雄々しいもので、趣味なんて女女しいものだと思っていたのだ。

 たとえばピカソとマチスという現代美術の両巨頭がいる(いまはもう近代美術になっているけど、ぼくの若いころはまだそれが現代美術だった)。その両巨頭のどちらが好きかというと、ピカソだった。

 いや、好き嫌いというより、ピカソの方を尊敬していた。

 ピカソの方が前衛的な感じで、フランコ独裁に抗議する大作「グルニカ」を描いているし、後には朝鮮戦争に抗議する絵も描いているし、やっぱり凄いと思っていた。やっぱり思想があるんだ、と思っていた。それに比べると、一方のマチスはただ綺麗なだけじゃないか、と思っていた。社会にコミットするものがない。ただの美術というか、むしろ趣味的なものじゃないか。

 そう思って、あまりちゃんと見ようとしなかった。

 趣味を軽蔑していたのだ。

===== 引用おわり

 

 前回は、

(K1565) おじんギャルとおじんギャルソン / 「 老人力 」(16)

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/08/K1565.html

 

<出典>

赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.104 P.105



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