【 読書 ・ 老人力 】無限の世界に向かっていたときにはムダな力ばかりで空回りしていたものが、限界の中ではむしろ有効に力が発揮されて、その限られた世界が広がってくる。何ごとかをはじめると、その限界内の世界が無限に広がってくる。
===== 引用はじめ
つまりそうやつて趣味の世界に入っていけるのだと思う。じっさいに、自分の力の限界を知り、落胆もあるだろうが、ある諦めの後にその限界内で何かをはじめてみると、それが自分にとってじつに大きな世界になってくるのである。無限の世界に向かっていたときにはムダな力ばかりで空回りしていたものが、限界の中ではむしろ有効に力が発揮されて、その限られた世界が広がってくる。
これはやってみなければわからないことだけれど、力の限界を知って、その限界内で何ごとかをはじめると、その限界内の世界が無限に広がってくる。
宇宙は確かに無限だけど、指の先の爪の先の垢の中の世界というのも、無限である。宇宙はすぐ届かなくなるけど、爪の先の垢の世界はとりあえず届くところにある。
===== 引用おわり
これは、まさにその通りだと思う。生まれたときには、可能性が無限に広がっていて、生きていくうちに、選択肢が絞られ、いくつかの可能性が無くなる。しかし、そこから眺めるとまた、無限の可能性が広がり、かつ、行く先がより具体的になっていく。
パラリンピック理念、「失ったものを数えるな。残された機能を最大限に生かそう」は、すべての人に当てはまる。それを忘れてはいけない、こんなにも可能性は残っているのだと、まざまざとパラリンピックは見せてくれた。
前回は、
(K1586)
歳をとると趣味に向かうのは何故か / 「
老人力 」(19)
http://kagayakiken.blogspot.com/2021/09/K1586.html
<出典>
赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.110
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