【 人口問題 ・ 米中対立 】 (1)中国は「人口戦」を最大限活用。(2)2020年の人口は、中国がアメリカの4.26%。(3)中国の人口減少が止まらない。(4)今世紀の後半には、米中の人口は同規模。(5)中国の「未富先老」を避けられそうにない
少子高齢化は、我々の日常生活だけでなく、国のありかた(高齢者福祉と財政、介護政策など)、国家間のありかにも影響を及ぼす。
1.
中国は「人口戦」を最大限活用してきた
2.
2020年の人口は、中国がアメリカの4.26%
3.
「一人っ子政策」という致命的ミスを犯した中国で、人口減少が止まらない
4.
今世紀の後半には、米中の人口は同規模となり、米国が逆転する可能性すらある
5.
中国の少子高齢化は止まらず、「未富先老」を避けられそうにない
【展開】
1.
中国は「人口戦」を最大限活用してきた
兵士の数が軍事的優位性を意味した第二次大戦当時に「人口戦」という言葉が頻繁に使われた。兵器が進化した現代においては、さすがに「人口規模=軍事力の強弱」とはならないが、マーケットの大きさや豊富な労働力に形を変えて「人口戦」は実質的に続いてきた。外交上の強力な″武器″となるからだ。
それを最大限活用したのが中国だった。巨大な人口を背景に経済を急拡大させ、存在感を高めてきた。
2.
2020年の人口は、中国がアメリカの4.26%
両国の2020年国勢調査によれば、中国の総人口は14億1178万人、米国は3億3145万人だ。4.26倍もの差がある。
3.
「一人っ子政策」という致命的ミスを犯した中国で、人口減少が止まらない
中国は「一人っ子政策」という致命的ミスを犯している。その影響はすでに出生数減として表れている。20年の年間出生数は約1200万人にとどまり、前年に比べて2割近くも急落した。
危機感を募らせた中国政府は、3人まで子供をもつことを認めたが、その効果は疑間視されている。条件付きで2人目を認める緩和策を講じても、思うように出生数が回復しなかったからだ。
4.
今世紀の後半には、米中の人口は同規模となり、米国が逆転する可能性すらある
中国政府は20年の合計特殊出生率を1.3としているが、実際の合計特殊出生率は「すでに1.1~1.2台」になっているとの専門家の分析が少なくない。
仮に、中国政府が示す「1.3」であっても、2100年の中国の総人口は6億8405万人に減る。もし、専門家が指摘する「1.1~1.2」ならば、2100年までに4億人を割り込み、3億人台に落ち込む可能性が出てくる。
これに対して、米国は移民を受け入れ続けていくなら、2100年の総人口が4億3385万人となる。今世紀の後半には、米中の人口は同規模となり、米国が逆転する可能性すらある。
5.
中国の少子高齢化は止まらず、「未富先老」を避けられそうにない
同規模ならば、国家としての「若さ」が優位性を測る次なる物差しとなるが、中国の高齢化は速く、60年には高齢者数のピークを迎える。同年の高齢化率は33.8%だ。一方の米国も高齢化は進むが、24.l%にとどまる。
中国には十分に豊かになる前に衰退が始まることを指す「未富先老」という言葉があるが、どうやらこれを避けられそうにない。「一人っ子政策」は、中国が自ら豊かさを放棄するだけでなく、国家の存続さえ危うくしかねない。
<出典>
少子高齢化進む中国 米中対立は米国の勝利か 客員論説委員・
【河合雅司・日曜講座】 産経新聞(2021/09/19)
https://www.sankei.com/article/20210919-VD553M6XAVOIZBO4YBR6BCKBTA/
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