【 読書 ・ 老人力 】 若いものの 思想 の 信仰 が 挫折 する。挫折の効用は何かというと、 力の限界 がわかってくること。すると 小さな楽しみ が切実に感じられてくる。 趣味 なんてそんな小さなものが、細密に、ありありと見えてくる
歳をとると趣味が出てくる、趣味に向かうようになる、というのは一般的にそうだろう。
現役引退という物理条件もあるし、もう一つ、その人の内部的問題も大きい。
何といっても若いものの思想の信仰などが挫折する。… 挫折は何も特殊なことではなく世の常なんだ、ということを知るようになる。
挫折の効用は何かというと、力の限界がわかってくること。若いときは何でも出来ると思っているけど、挫折をめぐって自分の力の限界が見えてくる。
でも自分は生きている。何かやらないと生きてはいけないわけで、金を稼ぐこともそうだけど、生きる楽しみでもそうだ。 … 晩ご飯への期待、ビールヘの期待、おかずへの期待、パチンコの球への期待、明日友だちと会うことへの期待、… そういう小さな楽しみでもつなぎつなぎしなければ、なかなか簡単に生きていけない。
自分の力の限界が見えた後になって、そういう小さな楽しみが切実に感じられてくる。それまで思想とか理想に君臨されて、趣味なんてそんな小さなもの、とむしろ軽蔑的に見ていたものが、… 目の前にアップになって、細密に、ありありと見えてくる。
前回は、
(K1578) 趣味を持っているが、蓋をされている/ 老人力(18)
http://kagayakiken.blogspot.com/2021/08/K1578.html
<出典>
赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.107 ~ P.108
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