100歳では、身体の状況にかかわらず、心の健康は維持され、幸福感が高い。
===== 引用はじめ
権藤准教授(*)は「100歳では、身体や認知機能で障害がない人は2%、95%が慢性疾患を抱える。自立している人もいれば寝たきりの人もいる。しかし、身体の状況にかかわらず、心の健康は維持され、幸福感が高い」と指摘する。===== 引用おわり
(*)大阪大大学院人間科学研究科の権藤恭之准教授
根拠は、次の調査による(添付図参照)。
===== 引用はじめ
東京都と兵庫県の7区市町村で、約2300人を対象に実施した調査(12~15年実施)では、…
体の健康(*1)は70~80歳は変化しないが、90歳になると標準値より低下。心の健康(*2)は90歳になっても維持され、現状を肯定的に捉える『良い感情』が上昇していた。
===== 引用おわり
(*1)体の健康では、バランスや歩行速度といった運動能力、栄養状態をみるアルブミン(血液)を測定。
(*2)心の健康は、世界保健機関の精神健康状態に関する質問表(WHO-5)を中心に、楽しい気持ちで過ごす頻度、眠りや目覚めの状態、人生満足度などについて聞き取りを行い、数値化した。
なぜ、幸福感は維持されるのか。
===== 引用はじめ
権藤准教授は、「老年的超越」「サクセスフルエイジング」といった心理学理論の存在を挙げる。人の発達は青年期(20歳前後)で止まり、後は衰退と喪失の時期だと一般的には考えられているが、心の発達は高齢期を迎えても続くという考え方だ。身体機能低下、家族との死別といった課題に適応することも発達の一つ。見えや物質的豊かさに無関心になり、ありのままを受け入れ、心の内面や少数の人との関係を重んじるように変化していくのだという。もちろん、性格や生活環境などの影響も考えられ、解明が進められている。
===== 引用おわり
失われたことにこだわらない視点の変化が大切。
===== 引用はじめ
権藤准教授は「健康寿命延伸は重要だが、それでもいつかは体の衰えに直面する。その先にどのような幸せの形があるのか。『目は悪いけれど、家族の様子はまだ見える』というように、失われたことにこだわらない視点の変化が大切。高齢者研究は、100歳時代の未来を提示すること。老いにはいい要素もある。幸せの寿命も延ばしていきたい」と話している。===== 引用おわり
私(藤波)が思ったこと:
「100歳では、身体の状況にかかわらず、心の健康は維持され、幸福感が高い」は、観察された事実である。これを二通りに解釈できる。
(1) 100歳になれば、身体の状況にかかわらず、心の健康は維持され、幸福感が高い
(2) 心の健康が維持され、幸福感が高い人は、身体の状況にかかわらず、100歳まで生き延びる可能性が高まる
私は(2)だと思う。
「体はダメになったけれど、娘の話し相手になってあげられる」
===== 引用はじめ
「幸せですか?」。権藤准教授は100歳の女性に問いかけた。女性は脳梗塞の影響で寝たきりになっていた。娘と2人暮らしで介護を受けているが、「体はダメになったけれど、娘の話し相手になってあげられる」と答えたという。「『世話になって申し訳ない』といった気持ちがあると想定し、質問で落ち込ませてしまうと躊躇(ちゅうちょ)していたので驚いた。百寿者の多くが自身の存在意義を見いだし、幸せそうにしている姿が不思議だった」と研究開始当初を振り返る。
===== 引用おわり
そう、こういう生き方をすれば、幸せに100歳まで生きられるのではないだろうか。
<出典>
「幸せの寿命」延ばしていく / 百寿者、心の研究【100歳時代プロジェクト】産経新聞(2018/06/05)
添付図・写真は、この誌面より。
百寿者、心の健康 幸福感維持している人が多い理由とは
https://www.sankei.com/life/news/180605/lif1806050015-n1.html
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