2018年6月26日火曜日

(K0422)  本来の課題 先取り / NPOで社会を変える(1) <システムの構築>

 
===== 引用はじめ
 「周りに空き家が増えた」「高齢者の居場所がほしい」――。こんな問題に直面したとき、あなたならどうしますか? 最近では政治や行政に頼らず、非営利組織(NPO)を立ち上げてこうした課題を解決しよう、いわば社会を変えようとする人も珍しくはありません。本当にNPOで社会を変えることなんて、できるのでしょうか。全8回で社会の変え方、教えます。
===== 引用おわり
 

 「現在の社会課題に取り組んでいるだけでなく、未来の社会課題を先取りしている」という。
 
(1) 空き家対策する

(2) 高齢者の居場所をつくる

(3) 災害救援する

(4) 子ども食堂を運営する

(5) LGPTなど性的マイノリティーを支援する

(6) 最近増加している「医療的ケア児」と呼ばれる障害児を支援する
  医療的ケア児:生活する中で”医療的ケア”を必要とする子どものこと
  医療的ケア:病院以外の場所で”たんの吸引”や”経管栄養”など、
   家族が医療的ケア児に対し、生きていく上で必要な医療的援助
  (全国医療的ケア児者支援協議会, http://iryou-care.jp/about/

(7) アニメや特撮、ゲームなど新たな文化財を後世に残す

(8) ブラインドサッカーやボッチャなど障害者も楽しめるスポーツを普及させる

など
 

 こうした課題は、まだ気づいている人は少ないものの、将来大きな問題になる可能性を秘めた「社会課題の芽」だという。
 



 以下は、私のまとめだが、「未来の課題 先取り」という観点からみて、NPOはいくつかの特徴をもっているようだ。
 
(1) 会社や役所に就職するより、より「やりたいこと」を直接しているという実感をもちやすい

(2) 役所に陳情するのなど他者に依存するのではなく、自らの手で課題解決に挑戦しやすい

(3) 収入あるいは収益を二の次にでき、やりたいことを優先させやすい

(4) 行政や企業がしていることから抜け落ちてしまっていると思われる課題に取り組みやすい
 


【展開】
 
(1) 会社や役所に就職するより、より「やりたいこと」を直接しているという実感をもちやすい

 日本で「就職」という言葉を使うが、「就社」という言葉が適切ではないかと思う。「○○を造っている会社」に「就職」しても、あるいは「世の役に立ちたい」と役所に「就職」しても、中に入ると、配属があり、異動があり、分業化しており、歯車の一つになるので、「やりたいこと」を直接しているという実感をもちにくい。ある組織に属することは決まっても、何をするかは「就社」した時点では決まらない。NPOは「やること」が絞り込まれていることが多く、自分の「やりたいこと」とマッチングさせやすい。
 ただし、一人何役もやらされる小さな会社はNPOに近く、規模の大きいNPOは会社に近い。
 
 
(2) 役所に陳情するのなど他者に依存するのではなく、自らの手で課題解決に挑戦しやすい

 NPOへの関わり方は、二つある。①自分の課題にすでに取り組んでいるNPOがあれば、その「職員」や「会員」になったり、ボランティアで手伝ったりする「仲間」になったり、署名活動や寄付をする「応援者」になったりする。②自ら仲間を募って、あるいは仲間の誘いに乗って、目的やミッションを共有するNPOを立ち上げる。最近では株式会社や社団法人も簡単にできるようになったが、NPO法人は法人を設立しやすいというメリットがある。先に説明した(1)は①の「職員になる」関わりであるが、②の関わりで役所に陳情するのなど他者に依存するのではなく、自らの手で課題解決に挑戦しやすい。
 

(3) 収入あるいは収益を二の次にでき、やりたいことを優先させやすい

 最近では中小企業並みの給与を払うNPOも出てきて、希望者を対象にした就職説明会も開かれるようになった。しかし、生活の糧は他のところで得(本業での給与、夫などの収入、高齢者においては年金も含む)、それとは別にNPOに取り組む人が多い。弁護士や公認会計士といった資格や、仕事で培ってきた専門知識・経験を活かしてNPOを手伝う「プロボノ」と呼ばれる社会貢献活動も盛んになってきた。
 株式会社の経営者(社長)は、株主のため、あるいは自分の生活の為に収益をあげ、より増やさねばならない。NPOの経営者(理事長)は、赤字を出さないようにしなければならないが、収益を増やすことを優先させる必要はなく自らの使命の遂行に集中でき、また収益が出た場合はNPOの目的にそって投資することができる。
 

(4) 行政や企業がしていることから抜け落ちてしまっていると思われる課題に取り組みやすい

 行政や企業にはさまざまな制約があり、ニーズがあっても取り組めないことが多い。まだ多くの人が気づいていないニーズ、将来的には重要でも緊急性の少ないニーズ、問題を抱えている人が少ないニーズ、企業としては採算のとりにくいニーズ、細やかで柔軟な対応が必要なニーズなどに挑戦しやすいのが、NPOのメリットだろう。
 行政や企業が取り組める課題、あるいは、取り組めるようになった課題については、NPOとしては彼らに任せる、あるいは、NPOから会社組織に変える方が、社会全体として効率的でメリットがあるのではなか。
 

<出典>

本来の課題 先取り
【NPOで社会を変える】(1) 朝日新聞(2018/06/20 ?)
 
(教えて!NPOで社会を変える:1)未来の課題、先取り
https://www.asahi.com/articles/DA3S13547639.html
添付図は、ここから


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