2018年6月17日日曜日

(K0412) 「世界一孤独な日本のオジサン」(1)・(2)・(3)① <社会的健康>

 
 前回紹介した「世界一孤独な日本のオジサン」の著者 岡本純子の解説。「文春オンライン」より(第1回)
 
 

【目次】

(1)   孤独な人は、早死リスクが50%高くなる

(2)   日本は世界に冠たる孤独大国になりつつある

(3)  「孤独に耐えろ」は「水を飲まずに我慢しろ」と同じくらい残酷
   ポジティブな意味合いの「Solitude」、ネガティブな「Loneliness
   人間は本来、「社会的動物」だ

(4)   日本は「ソーシャル・キャピタル」が先進国最低の101

(5)  「仕事が、生きがいなわけではない」。そう思っていても
 
 

【展開】(1)(2)(3)
 
(1)  孤独な人は、早死リスクが50%高くなる

===== 引用はじめ
 「中高年の男性にとって最大の脅威は喫煙でも肥満でもない。それは孤独だ」(ボストン・グローブ紙)、「慢性的な孤独は現代の伝染病」(フォーチュン誌)――。海外では、「孤独」は健康に甚大な影響を与える最大のリスクである、という認識が急速に広がっている。

 約30万人以上のデータを対象としたアメリカの調査では、「孤独な人は、人的つながりを持つ人に比べて早死リスクが50%高くなる」という結果が出た。

 昨年10月には、アメリカ連邦政府の前公衆衛生局長官、ビベック・マーシー氏が「孤独は深刻化する伝染病」であり「病気になる人々の共通した病理(病気の原因)は心臓病でも、糖尿病でもない。孤独だった」という論文を発表し、話題を集めた。
===== 引用おわり
 
 添付グラフ「死亡率との関連性」参照
 


(2)  日本は世界に冠たる孤独大国になりつつある

===== 引用はじめ
 こうした流れと逆行するように、日本では、「孤独のすすめ」「おひとりさま」「ぼっち」などと、「孤独」を美化し、奨励する考え方が人気を集めているが、実はその裏で、日本は世界に冠たる孤独大国になりつつある。
 国際機関OECD(経済協力開発機構)の調査(2005年)によれば、友人、同僚、その他コミュニティの人と「ほとんど付き合わない人」の比率は15.3%と平均(6.7%)の2倍以上、加盟国中トップだった。オランダの2.0%、アメリカの3.1%、ドイツの3.5%などに比べると差は歴然だ。未婚率や一人暮らしの家庭も増加している。
===== 引用おわり
 
 添付グラフ「社会集団の中で、ほとんど、もしくは全く友達や同僚など他人と時間を過ごさない人の割合」参照
 


(3)  「孤独に耐えろ」は「水を飲まずに我慢しろ」と同じくらい残酷
 
    ポジティブな意味合いの「Solitude」、ネガティブな「Loneliness
===== 引用はじめ
 「孤独」とはそもそも、「頼りになる人や心の通じ合う人がなく、ひとりぼっちで、さびしいこと(さま)」を指す。「孤」は「みなしご」を意味し、誰にも頼れず、精神的に「孤立」し、苦痛を覚えるというネガティブな主観だ。一方で、日本では、「独りで独自」の時間を過ごし、楽しむことをも「孤独」ととらえられている。
 英語では、ポジティブな意味合いの「Solitude」(個人が能動的・自発的に一人を楽しむこと)と、ネガティブな「Loneliness」(自らの意思に反して、疎外感や孤立感を味わうこと)とに分かれているが、日本語では、「個独」という「良いこどく」と、「孤独」という「悪いこどく」がひとくくりになり、結果として、「孤独」が美化されているきらいがあるように感じる。
===== 引用おわり
 
 
 
 以下は、私の意見

 欧米人は、日頃の生活の中に、先ず「Solitude」があって、「Loneliness」が「Solitude」を蝕むのに抵抗しようとしているのではないか。「Loneliness」があるレベル以上になると、「Solitude」を維持できなくなり、死亡リスクを高めていると思う。



 
 日本人は、日頃の生活の中で、そもそも「Solitude」が希薄なのではないか。特にサラリーマン男性は、集団生活(職場)の中で暮らし、集団生活に守られ、依存しながら生きている傾向が強く、その結果「Solitude」を得にくくなっている。「Solitude」を得るためには、集団から距離を置くことが必要だ。

 サラリーマンが退職すると、慣れ親しんで大きな位置を占めていた職場が消えてなくなる。それを「集団から距離を置かれてしまった」とリスクにしてしまうのではなく、「集団から距離を置けるようになった」とチャンスにし、「Solitude」を取り戻そうとするのは良いことだと思う。少なくとも団塊の世代は、子供や成年の時には「Solitude」があったが、就職して見失っていた。だから「取り戻す」である。きわめて健全な反応と、私は思う。
 

 それを岡本さんは、「孤独」が美化されているきらいがあるように感じているのではないか。

 「孤独な人は、早死リスクが50%高くなる」は、欧米文化圏での調査であって、それをそのまま日本文化圏にあてはめてよいかどうかは、慎重に見極める必要があると思う。
 



<出典>
岡本 純子、 http://bunshun.jp/search/author/%E5%B2%A1%E6%9C%AC%20%E7%B4%94%E5%AD%90
なぜ日本のおじさんは「世界一孤独」なのか?
~ 『世界一孤独な日本のオジサン』著者が示す衝撃的データ
http://bunshun.jp/articles/-/6460



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