2018年12月6日木曜日

(K0584)  関係性障害としての認知症 / 小川敬之教授(1)

 
 「認知症の中心的な症状のとらえ方が、従来の記憶障害から、社会的認知の障害(関係性の障害)へとシフトしている」
(DSM-5の診断基準に「社会的認知(社会脳)」が追加された … 添付図参照)
 

 これで認知症の人への関わり方が、劇的に変わる可能性があります。
 
 
 「認知症フォーラム.com」では、“「認知症」は病名ではなく、認識したり、記憶したり、判断したりする力が障害を受け、社会生活に支障をきたす状態のこと。”と書いています。

https://www.ninchisho-forum.com/knowledge/kurashi/006.html
 
 普通は、「認識したり、記憶したり、判断したりする力が障害を受ける」と考えるのですが、そうではなく、「社会生活に支障をきたす障害」だと考えるのです。
 
 「認識したり、記憶したり、判断したりする力が障害」と考えると「治療不可能な認知症(untreatable dementia」」となります。しかし、「社会生活に支障をきたす」は改善できる状態だ(「治療可能な認知症(treatable dementia」)というところに注目するのです。すると、希望がでてきます。
 


 「認知症の人の混乱(BPSD)出現の図式」(添付図参照)によれば、認知症の人は、脳病変があり、<認知機能障害><身体症状>が現れて、各々の人の生活歴(人となり)を介して、混乱や不安が高じて、その人固有のBPSD(周辺症状)が出現します。
 
 それとは別のルートもあります。「関り」すなわち「環境・物との関り」「人との関り」です。

 認知症により、「自分との関係性」を失い、「環境・物との関り→生活行為の障害」「人との関り→社会認知の障害」という流れの中で、混乱や不安が発生し、それに伴いBPSD(周辺症状)が悪化します。ならば、「関係性を修復すればよい」ということになります。


 
 このBPSDが、本人も周囲の人も苦しめ、社会生活に支障をきたすのです。
 


(次回に続く)
 
<出典>
  講演を聴講したのは、
小川敬之教、「ひとつ ー少子高齢化・認知症・働くこと・生きる事ー」、第61回臨床死生学・老年行動学研究会(第61回臨床死生学・老年行動学研究会)、大阪大学 中之島センター、2018/12/05
研究会については、http://rinro.hus.osaka-u.ac.jp/info.html
 
  参考になる文献としては、
「認知症の支援 - 和包括的視点での多職種のかかわり方 - Dementia Friendly community
http://www.seiai-riha.com/pdf/170321_innaibenkyou01.pdf
(注)所属が「九州福祉保健大学」となっているが、現在は「京都橘大学」教授

 

 

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