2019年5月21日火曜日

(K0750)  8050の実像 事例4 <その他・ひきこもり>

 
 47歳女性
 
1.   幼いころから引っ込み思案
2.   高校生で孤立の苦しみ。「過敏性腸症候群」と診断された。耐え続けた
3.   大学でも状況は変わらなかった。
4.   就職活動は、就職氷河期の最中
5.   不採用が社会との隔離の一歩になった
 
6.   両親に疎まれないよう、率先して家事や祖父母の介護を引き受けた
7.   在宅時間が長くなり、人と話すことも避けて日々を過ごした
8.   祖父母が亡くなり、家に居場所のなさを感じた
9.   現実に不安を覚え、将来を真剣に考え始めた
 
10.  インターネットで見つけたひきこもりの自助会に参加を申し込んだ
11.  各地の自助会に顔を出し、孤立感は薄れていった
12.  自助会をきっかけに、新聞販売店のポスティング作業を紹介された
13.  今は、1日100軒以上を訪問することも。物事を前向きに考えられるようになった
 


【展開】
 
1.   幼いころから引っ込み思案
 

2.   高校生で孤立の苦しみ。「過敏性腸症候群」と診断された。耐え続けた
 高校では同級生に避けられ、無視された。孤立の苦しみは体にも現れた。授業中によく腹の調子が悪くなり、医師からはストレスから慢性的な下痢が続く「過敏性腸症候群」と診断された。原因は明らかだったが、「孤立している事実を知られたくないし、卒業だけはしたい」と両親には相談せず、耐え続けた。
 

3.   大学でも状況は変わらなかった。
 

4.   就職活動は、就職氷河期の最中
 人と話すことに恐怖心を抱いたままで臨んだ就職活動は、就職氷河期の最中。
 

5.   不採用が社会との隔離の一歩になった
 不採用の通知を受け取る度に自分を責める一方、時代のせいにして安堵(あんど)した。これが、社会との隔絶の一歩になった。
 

6.   両親に疎まれないよう、率先して家事や祖父母の介護を引き受けた
 

7.   在宅時間が長くなり、人と話すことも避けて日々を過ごした
 在宅時間が長くなり、近所への買い物や図書館に出かけるだけに。人と話すことも苦痛で避けた。「母は私が祖父母の介護を引き受けることで助かっていたと思う。そういう気持ちを利用していた」。楽しいと感じることがないまま毎日が過ぎていった。
 

8.   祖父母が亡くなり、家に居場所のなさを感じた
 転機は数年前。祖父母が亡くなり、家に居場所のなさを感じていたとき、父親に大腸がんが見つかった。
 

9.   現実に不安を覚え、将来を真剣に考え始めた
 手術は成功したが、ずっと目を背けてきた親の死後に待つ現実に不安を覚え、将来を真剣に考え始めた。
 

10.  インターネットで見つけたひきこもりの自助会に参加を申し込んだ
 就労経験がない谷口さんは、自立に向けて何をすべきか分からなかったが、インターネットで見つけたひきこもりの自助会に参加を申し込んだ。会場への途中、緊張で吐いてしまい、何度も引き返そうとしたが「一生後悔する」と自身を奮い立たせた
 

11.  各地の自助会に顔を出し、孤立感は薄れていった
 各地の自助会に顔を出し、参加者と過去を語り合ったり、一緒に料理を楽しんだりすることで孤立感は薄れていった。
 

12.  自助会をきっかけに、新聞販売店のポスティング作業を紹介された
 平成29年に自助会をきっかけに、枚方市の就労支援事業を知り、自分のペースで仕事ができる新聞販売店のポスティング作業を紹介された。
 職場では真面目な態度が評価され、購読代金の集金も任されるように。人と話すことにためらいはあったが、担当者が「失敗してもいい」と背中を押してくれた。
 当初は集金の際に購読者と何を話していいか分からず、自宅でやりとりを想定して練習を重ねた。
 

13.  今は、1日100軒以上を訪問することも。物事を前向きに考えられるようになった
 今は多いときに、1日100軒以上を訪問することも。ひきこもっていたころに比べ、物事を前向きに考えられるようになった。
 


<出典>
23年ぶりの社会 一歩ずつ / 「認められることがうれしい」
【8050の実像 中高年のひきもり61万人】 産経新聞(2019/05/14)
 
【8050の実像-中高年ひきこもり61万人】(下)23年ぶりに社会へ「認められうれしい」
https://www.sankei.com/life/news/190515/lif1905150047-n1.html

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