2019年5月1日水曜日

(K0731) 「悩ましい」安楽死・尊厳死 <臨死期>

 
(1)   オランダの安楽死の合法化は、「死の医療化」だった
(2)   法を拡大解釈する動き。自律を生の基本と考え、死をも管理したい
(3)   安楽死は健康のとらえ方とも深く関わっている
(4)  「人間は自由にして依存的な存在」だ
 

【展開】

(1)   オランダの安楽死の合法化は、「死の医療化」だった
 2001年、広義の安楽死(添付図の①+②)を世界初合法化したオランダでは、安楽死は患者の「死ぬ権利」ではなく、法の下、医師が死を管理する「死の医療化」だった。
 
(2)   法を拡大解釈する動き。自律を生の基本と考え、死をも管理したい
 自殺を禁ずるキリスト教信仰が薄れ、自律(自己決定)を生の基本と考え、死をも管理したい人々が安楽死の新たな適用例を、身をもって切り開いている。
 
(3)   安楽死は健康のとらえ方とも深く関わっている
 著者は「安楽死は健康のとらえ方とも深く関わっている」と指摘する。WHO(世界保健機関)の健康定義「身体的・心理的・社会的に完全に良い状態」の「完全」が長く批判されてきたが、オランダの国際的研究グループは健康概念を新たにした。病や障害があっても、医療・介護を支えに前向きに生きる「立ち直り、復元力」を健康と考えたのだ。
 
(4)  「人間は自由にして依存的な存在」だ
 自律一辺倒の考えに対し、「自律・独立と依存は表裏の関係」と著者。赤子は他者に完全依存して健康な成人となり自律・自立。病気や事故による障害や加齢で依存的になり、最期は再び他者に完全に依存してみとられる。かように「人間は自由にして依存的な存在」だと
 


<出典>
井口優子、人間の「自律と依存」を問う
産経新聞(2019/04/14)
 
【書評】『安楽死・尊厳死の現在 最終段階の医療と自己決定』松田純著
https://www.sankei.com/life/news/190414/lif1904140023-n1.html
 

<原著>
松田純、「安楽死・尊厳死の現在」、中公新書


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