引きこもりや貧困、介護といった家庭の問題について、一括相談窓口を作ろうという動きがある。
===== 引用はじめ
厚生労働省の有識者会議は16日、引きこもりや貧困、介護といった家庭の問題について、市区町村の縦割りの対応を見直し、断ることなく一括して相談に応じる体制の整備に向けた中間報告をまとめた。年内にも具体的な内容を盛り込んだ最終報告書を作成。厚労省は来年の通常国会に社会福祉法改正案を提出したい考えだ。
===== 引用おわり
良いことだと思うが、ありきたりだ。実施したくても出来ない事情がある。そこをどうするかまで踏み込まないと、結局、厚生労働省は、役所に負担をかけるだけの組織になってしまう。
一つ目の添付図は、おそらく新聞社が描いたものだろうが、変だ。
(1) 相談者は困っているのだ。介護や貧困や引きこもりにカテゴライズするのは受けての勝手だ。まずは丸ごと全部を受けとめることから始めなければならない。「介護」や「貧困」や「引きこもり」が来るのではなく、困った人が来るのだ
(2) 解決を与えるのではない。本人が解決するのを支援するのだ
私のイメージを二つ目の図に示す
A)
現状
相談者が困りごとをもってきたら、① 「介護」や「貧困」や「引きこもり」に分割し
② それぞれの担当部門が個々に対応する
B) 改善
相談者が困りごとをもってきたら、
①
「介護」や「貧困」や「引きこもり」に切り分け② それぞれの担当部門を呼び込み「場」(カンファレンス)つくる
③ 「場」で関係者が検討する。必要に応じて相談者も加わってもらう。相談者が納得できる対策が見つかれば、その後は、相談者の実行をサポートする
④ 原則は窓口が相談者の立場に立って統括するが、関連部門の一つが仕切ってもよい
現実問題として、カンフェレンスは、マン・パワーを必要とする。全ての相談者には適用できない。重大かつ複雑な案件に絞り込み、他は「簡易型カンフェレンス」とか従来方式にしないと、現場はもたないと思う。現場がもたないと、結局は相談者へのサービスの質が低下する。
===== 引用はじめ
中間報告は「属性や課題に基づいた既存の制度の縦割りを再整理する新たな制度枠組みの創設を検討すべきだ」と強調。どんな相談も丸ごと断らずに受け付ける窓口を市区町村に整備し、関係機関が連携して解決を図るよう求めている。
===== 引用おわり
言っていることは立派だが、大丈夫だろうか。「新たな制度枠組みの創設」も大切だが、運用をどうするかが大切だろう。「新たな制度枠組みの創設」をしなくても、運用で改善できる余地が、ずいぶんあると思う。
厚生労働省の有識者会議の報告は、方向としては間違いないと思うが、杓子定規に押し付けると、現場を混乱させ、結果として、サービスを低下させると思う。
<出典>
引きこもり・貧困・介護 自治体に一括相談窓口産経新聞(2019/07/17)
https://www.sankei.com/life/news/190716/lif1907160016-n1.html
自治体の家庭相談窓口、一本化 引きこもりや貧困・介護
0 件のコメント:
コメントを投稿