2020年1月31日金曜日

(K1005) 名医が「答えられない」と悩む認知症患者の問い <認知症>

 
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自らも認知症になった専門医。(1)「ボクはやっと認知症のことがわかった」、(2)名医が「答えられない」と悩む認知症患者の問い、(4)世の中で必要とされるのは、何か、(5)今、何をしようしているか
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 長谷川和夫・猪熊律子『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』(KADOKAWA
 
(1)  本のタイトルにある、「ボクはやっと認知症のことがわかった」ということは、どういうことか
(2)  この投稿のタイトルにある、“名医が「答えられない」と悩む認知症患者の問い”とは何か
(3)  翻ってボクはどうだったかって?
(4)  認知症に対して、世の中で必要とされるのは、何か
(5)  認知症になった今、何をしようしているか


【展開】
(1)  本のタイトルにある、「ボクはやっと認知症のことがわかった」ということは、どういうことか
===== 引用はじめ
 そういえば昔、聖マリアンナ医科大学(以下、聖マリアンナ医大)に勤めていたときに先輩から、「あなた自身が同じ病気にならないかぎり、あなたの研究は本物じゃない、認めない」といわれたことがありました。その先輩に向かって、いまなら「ボクも本物になりました」といえますね。
===== 引用おわり
 
(2)  この投稿のタイトルにある、“名医が「答えられない」と悩む認知症患者の問い”とは何か
===== 引用はじめ
 「先生、聞きたいことがあるけど、質問していいですか」とおっしゃいます。「もちろんです。どうぞ」というと、「どうして私がアルツハイマーになったんでしょうか。ほかの人じゃなくて」と聞くのです。
 アルツハイマー型認知症はアミロイドβというたんぱく質が脳に蓄積して、といった類の話ではなく、「ほかの誰かじゃなくて、なぜ自分がならなくちゃいけなかったのですか」というストレートな質問です。その方の表情はとても真剣で、何というか、全身から悲しみが滲み出ているような感じでした。
 みなさんだったら、何と答えますか。
 ボクは答えられなかったな。
… 
 その男性は、会社で重要な職に就いていた方でした。おそらく、その方からすれば、「どうして私が? 何も悪いことをしていないのに」「社会でそれなりの仕事をしてきた私が、この期に及んでなぜ?」という気持ちが強かったのだろうと思います。
 当時はいまよりも認知症への理解が進んでいませんでしたから、そうとうショックだったのでしょう。
===== 引用おわり
 
(3)  翻ってボクはどうだったかって?
===== 引用はじめ
 ボク自身でいえば、認知症になったのはしようがない。年をとったんだから。長生きすれば誰でもなるのだから、それは当たり前のこと。ショックじゃなかったといえば嘘になるけれど、なったものは仕方がない。これが正直な感想でした。
===== 引用おわり
 
(4)  認知症に対して、世の中で必要とされるのは、何か
「なぜ公表したのですか」という質問に対して
===== 引用はじめ
 認知症を理解して支える存在や、その仕組みが絶対に必要だと思ったからです。
 「大丈夫ですよ、私たちがそばにいますから安心してください」。そんなメッセージをその人に届けてくれる存在や仕組みがあったら、認知症の人はどんなに安心するでしょう。
 また、認知症の人をたんに見守るだけでなく、寄り添い、ともに歩んでいきましょうという取り組みがあったら、どんなに勇気づけられるでしょう。
===== 引用おわり
 
(5)  認知症になった今、何をしようしているか
===== 引用はじめ
 役に立てるかどうかはわからないけれど、認知症のありのままを伝えたい。それが、自分が生きていく道だと思ったのです。また、それが、自分が生きていく道であると同時に、自分が死んでいく道でもあると感じたのです。
 ボクは若いころから、精神的に落ち込んで、悲観的になることが時折ありました。そんなボクにとって、認知症になり、「何もかもわからなくなる」ことへの恐怖心はそうとう強いものがあります。でも、そこにいつまでもとどまっているのは、身体にも心にもよくありません。
 自分を叱咤激励して、くよくよしているよりは、いまできることをやろうと決めた。だからこそ、認知症であることを公表し、語ることを始めたのです。
===== 引用おわり
 
<出典>

名医が「答えられない」と悩む認知症患者の問い
https://www.msn.com/ja-jp/health/healthy-lifestyle/名医が%ef%bd%a2答えられない%ef%bd%a3と悩む認知症患者の問い/ar-BBZsWVn?ocid=spartanntp
 
元になっているのは、
長谷川和夫・猪熊律子『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』(KADOKAWA

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