2020年6月26日金曜日

(K1152)  アンチ・エイジングとナチュラル・エイジング(1) / 自立期と仕上期との間にて(9) <自立期~仕上期>


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身体の老化の進行の速度を落とす努力がアンチ・エイジング、それでも止められない変化を受け入れる努力がナチュラル・エイジングだととらえると、この二つは、相反するものでも、二者択一でもない。共にあるべき
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 アンチ・エイジングとナチュラル・エイジングとは、対立する概念なのだろか。どちらかを捨て、どちらかを選ぶものなのだろうか。

 老化は、主として体の衰えとして、実感します。老化は、体に様々な影響を引き起こします。
===== 引用はじめ
(1)  脳神経系
 大脳萎縮や脳細胞の減少、神経伝達物質の活性低下などから、認知機能の低下が見られます。そのため、70歳以上の約1割、90歳以上になると5割が、認知機能低下に伴う認知症になります。

(2)  心血管系
 左室の肥大や冠動脈硬化、運動時の最大心拍出量が低下します。これによって心筋梗塞や心肥大、心不全、高血圧を引き起こします。

(3)  呼吸器系
 肺胞そのものの数の減少、肺の弾性力の低下などにより、呼吸機能が全般的に低下します。

(4)  消化器系
 咀嚼や嚥下能力の低下による誤嚥性肺炎、消化管運動が低下することによる便秘や便通の異常、胃内容物の食道への逆流による逆流性食道炎などが見られます。

(5)  腎泌尿器系
 糸球体の喪失や腎血流量の低下、ろ過率の低下により夜間尿量が増え、尿失禁を引き起こします。

(6)  骨格系
 骨量や骨密度の低下による骨粗鬆症や骨折、関節液減少や滑膜の弾力低下による関節炎を引き起こし、寝たきりとなる方も少なくありません1)

(7)  このほか
 視力の低下や聴力の低下など、高齢者には様々な身体の影響が出てくるのです。
===== 引用おわり
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka/rouka.html


 これらの変化(身体的衰え)は止められないが、進行の速度を落とすことはできる。

 進行の速度を落とす努力がアンチ・エイジング、それでも止められない変化を受け入れる努力がナチュラル・エイジングだととらえると、この二つは、相反するものでも、二者択一でもなく、共にあるべきものだろう。

  アンチ・エイジングなきナチュラル・エイジング
  ナチュラル・エイジングなきアンチ・エイジング
 いずれも、健全とはいえない。


===== 引用はじめ
 年をとると自然の老化があらゆる面で露呈してくる。
 それを少しでもくい止めようと、アンチエイジンクという発想が流行しているらしい。しかし、老化は自然の成りゆきであって、病気ではない。
 アンチ、アンチと騒ぐよりも、むしろナチュラル・エイジングを考えるべきではないだろうか。
 などと、偉そうなことをいっているが、たとえ自然の摂理ではあっても、身心の老化はまことに不快なものである。
===== 引用おわり
五木寛之、「新老人の思想」、P.130


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