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病気の名前を隠して、第二次大戦直後の死因トップをあててもらう。昭和20年代から右肩下がりになり、現在では主な死因の最下位になったのは何か。近代の文学作品や作家の生涯について書かれたものに必ず出てくる
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研究広報の仕事として、高校生に最新の生命科学研究を紹介する機会がある。生命科学と私たちの関わりを考えてもらうきっかけとして、厚生労働省が毎年出している「主な死因別にみた死亡率の年次推移」のグラフを見せることにしている。日本人がどのような理由で亡くなったかを、昭和22(1947)年から示した統計だ。
(1) 結核
昭和20年代から右肩下がりになり、現在では主な死因の最下位になったのは何か。人類の歴史の大半は、結核のような体の外から来る病気=感染症との闘いであり、医学・生物学がこれを克服できるようになったのはつい最近のことなのだ(今も闘いは続いている)。
(2) がん
現在の死因トップは? がんは、体を構成する細胞のDNAの異常で生じる。すなわち、私たちの体の中に原因がある「内因」の病気だ。細胞を研究し、DNAを研究することは、生きものの基本の仕組みを解き明かすとともに、現在多くのヒトを死に至らしめる病気を理解する営みでもある。
(3) 自殺
自殺は若い世代の死因トップであり、経済・社会状況により中高年での比率も高まる現代日本の深刻な課題だ。
(4) 不慮の死
「不慮の事故」のグラフを見ると、2つの奇妙なピークがあることが分かる。一つ目のピークは平成7年。 二つ目のピークは、平成23年である。
次の大災害時に、私たちはどうやってこのピークを下げることができるだろうか。科学に関係する職業に就くか就かないかに関わらず、今の大人と将来の大人に課せられた難題を、若い人たちとともに考えたい。
<出典>
生と死の生命科学
【理研が語る/科学の中身】 産経新聞(2021/03/06)
https://www.sankei.com/life/news/210305/lif2103050051-n1.html
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