【 全員悪人 ・ 認知症 】(1)最終段階で語り手を義母に変更した。(2)認知症患者の行為や言動の裏には、必ずと言っていいほど理由がある。(3)今考えてみれば、すべてが前兆だったと思う。(4)認知症のはじまりはとてもわかりにくく、曖昧だ
(1)
執筆の最終段階で語り手を義母に変更した
(2)
認知症患者の行為や言動の裏には、必ずと言っていいほど理由がある
(3)
今考えてみれば、すべてが前兆だったと思う
(4)
認知症のはじまりはとてもわかりにくく、曖昧だ
【展開】
(1)
執筆の最終段階で語り手を義母に変更した
考えに考えて、執筆の最終段階で語り手を義母に変更した。長きにわたって認知症の義母と対話を重ねるなかで見えてきた、当事者の戸惑いや悲しみ、焦燥感や怒りを、義母の言葉を借りて伝えるという手法を選んだのだ。
(2)
認知症患者の行為や言動の裏には、必ずと言っていいほど理由がある
認知症患者が見せる荒唐無稽な行為やそれに伴う激しい言動の裏には、必ずと言っていいほど理由がある。当事者も苦しみ、孤独を感じている。それを伝えたかった。
(3)
今考えてみれば、すべてが前兆だったと思う。
もちろん、両親の変化をすぐに理解できたわけではなかった。認知症と診断される数年前から、わずかな違和感に気づくことがあった。ふと見せた不安げな表情、時折見せる理由のない怒り、かたくなな言動。年をとって頑固になったものだと笑って流してしまったそんな出来事も、今考えてみれば、すべてが前兆だったと思う。
(4)
認知症のはじまりはとてもわかりにくく、曖昧だ。
認知症のはじまりはとてもわかりにくく、曖昧だ。ある程度進行した認知症と診断されている義母でさえ、身辺の自立は完璧で、そんな義母を見て認知症と気づく人は少ないはずだ。明るく、笑顔を絶やさず、人付き合いもできている。しかし、彼女が料理をすることは、この先も決してないだろう。
<出典>
村井理子(翻訳家)、他人事ではない認知症
【新・仕事の周辺】産経新聞(2021/06/13)
https://www.sankei.com/article/20210613-PXVAUZLE6VKZLI5H2YESSZGAGY/
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