【 読書 ・ 老人力 】巨艦が大海にゆっくりと沈んでいく。それを老入力の歌にした場合、沈むのは敵艦ではなく自分の方である。老人みずからが堂々たる凱歌を上げながら沈んでいく。それがやはり老人力の卓越したところだ。
〽ろ―じ、ん、ろ―じ―ん―、
がいかはあ―が―る―……
老入力を歌い上げるにはこれがいいと思う。昔の日本の軍歌である。
〽轟沈、轟沈、
凱歌は上がる…
というあの節である。右手を振り振りこれを歌うと、老人力の大きさ、老人力の大さ、老人力の堂々さかげんというのがじつによく染み出てくると思う。
巨艦が大海にゆっくりと沈んでいく。それを老入力の歌にした場合、沈むのは敵艦ではなく自分の方である。老人みずからが堂々たる凱歌を上げながら沈んでいく。それがやはり老人力の卓越したところで、ヤングパワーやその他の並のパワーとは違うのだ。
軍艦は鉄で出来ている。だから当然、いずれは沈むのである。発泡スチロールで出来た軍艦ならいつまでたっても沈まないだろうが、でもそれは軍艦とはいわない。
いや反戦主義者には申し訳ないが、人生にはあちこちに戦いが待ち受けている。それを避けて通ろうとしたんでは人生が成り立たない。あくまで反戦主義で、 … 勝ったり負けたりしながら、幾多の凱歌を上げつつ、ゆっくりと大海に沈んでいくのが老人力というものではないだろうか。
『轟沈』。例えば、
https://www.youtube.com/watch?v=nRLBpnakVzM
歌唱、歌詞あり。
前回は、
(K1494) 「 あーあ…… 」は、 確信犯的老人力 / 「 老人力
」(6)
http://kagayakiken.blogspot.com/2021/06/k1494-6.html
<出典>
赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.44 ~ P.45
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