2021年7月9日金曜日

(K1531) 任意後見契約の事例。生活の質を守る後見人(身上監護)

 【 任意後見 ・ 身上監護 】 K子さんの場合は自分の判断で 後見人 を決める、 成年後見制度 の「 任意後見契約 」になります。まだしっかりされているので、いわば 保険 のようなものですが、 将来の安心 につながります。


 契約が功を奏した事例です。

 

(1)   有料老人ホームに入室

(2)   任意後見契約を締結

(3)   認知症が進み、介護居室へ住み替え

(4)   監督人を選任

(5)   財産管理と身上監護

(6)   要介護5に

(7)   死後事務委任契約

(8)   被後見人を理解して生活の質を守る身上監護

 

【展開】

(1) 有料老人ホームに入室

 20年以上前になりますが、元教師で独身のM代さんは71歳で有料老人ホームに入居

 

(2)   任意後見契約を締結

 8年後には行政書士のHさんと「任意後見契約」を結びました。

 

(3)   認知症が進み、介護居室へ住み替え

 その後M代さんは認知症がかなり進み、自立向けの居室では生活が難しくなり、Hさんがかかりつけ医やホーム側と相談し、介護居室へ住み替えとなりました。

 

(4)   監督人を選任

 その時点で後見人のHさんは家庭裁判所に、Hさんが適正な事務を行っているかどうか監督する「監督人」を選任する申し立てを行います。

 

(5)   財産管理と身上監護

 HさんはM代さんの立場になって財産を守るとともに、身上監護として、住居の確保や生活環境の整備もします。さらに、Hさんは契約時にM代さんから「認知症になっても、月1回は好きな音楽を聴くため、コンサートに行きたい」「年に一度は九州の実家の墓参りに行きたい」などいろいろな要望を聞いていたので、ホームを定期的に訪間するだけでなく、それらを実行すべく手配を尽くしました。

 

(6)   要介護5に

 M代さんは徐々に身体も弱って、21年目の現在は要介護5です。

 

(7)   死後事務委任契約

 Hさんは死後事務委任契約も受けているので、亡くなられたときの葬儀では喪主を務め、菩提寺へ納骨することも決まっています。

 

(8)   被後見人を理解して生活の質を守る身上監護

 今後、後見人を必要とする高齢者が増えるのは間違いありません。財産管理だけでなく、被後見人を理解して生活の質を守る身上監護にたけた後見人が増えることを祈るばかりです。

 

 

<出典>

米沢なな子、生活の質守る後見人

【終の棲家をさがして】産経新聞(2021/06/28)

 

<添付図>

http://wakaba-office.biz/column/20150405.html



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