2021年7月7日水曜日

(K1529) 「老人は家の守り神」という立看板 / 「 老人力 」(11)

 【 読書 ・ 老人力 】ふつうこういう町角には、挨拶をしましょうとか、交通規則を守りましょうとか、当たり障りのない標語が書かれているものである。それがいきなり「老人は家の守り神」とくると、感動する。路上観察学会で見つけた。


 「老人は家の守り神」という立看板。確かに、そういう看板は、見かけたことがない。

 最近では、「お寺の掲示板」が注目されているが、そういうところなら、あるかもしれない。

https://www.bdk.or.jp/kagayake2020/publication.html

 

===== 引用はじめ

 路上観察学会で東海道五十三次を歩こうということで、日本橋から始まって静岡まで行った。各自何か所か分担して歩くんだけど。ぼくはたまたま掛川の先の袋井を歩いた。

 路上観察というのは基本的には目の前勝負なので、どこを歩いても同じようなものだが、でもその袋井で、いい立看板があった。

 

「老人は家の守り神」

 ペンキで堂々と大書されている。いいなあ、この言葉。小さな町内会の集会所みたいな小屋の前にあったんだけど。何だかちょっと感動してしまった。

 ふつうこういう町角には、挨拶をしましょうとか、交通規則を守りましょうとか、当たり障りのない標語が書かれているものである。それがいきなり「老人は家の守り神」とくると、感動する。

 その言葉もさることながら、その筆勢がまた素晴しいのだ。ブリキに自塗りの立看の上に、筆というよりは壁塗りの刷毛のような、太い線と細い線がはっきりと違う穂先をものともせず、その筆なりに堂々と書き切っている。ちょっとペンキが垂れたりして、それがまたなかなか大雑把で気持がいい。

 というので、それを路上観察とは別にエッセイに書いた。

===== 引用おわり

 

 前回は、

(K1522) お茶とため息と老人力、そして国際比較 / 「 老人力 」(10)

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/06/K1522.html

 

<出典>

赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.57 P.58



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