【 読書 ・ 老人力 】温泉といえば昔から老人のもので、もしくは病人が湯治に行ったりするもので、元気一杯の若者が堂々と行くものではない。と昔は思われていたけど、若年層にもじわじわとブームになってきたのである
昔は、温泉に行く元気な若者は変わり者と見られていたが、最近では、温泉女子旅がブームになり、若者も温泉めぐりをするようになってきました。温泉に行く若者が増えたのは、若者にも老人力がついてきたからだと筆者は言っています。
元気な若者はひたすら働け、そして引退したら家督を譲り、温泉にでも行って息子のすることに口出しするなという知恵だったのではないかと私は思います。
オンとオフ。仕事をしているときと仕事から離れているとき。オフの時間の使い方、別の言葉で言うと、何を趣味とするか。忙しい日常から離れ、自由な時間を贅沢に使って楽しむ力を筆者は老人力とよんでいるのではないでしょうか。欧米人のように長期休暇を取ってバカンスを楽しむことをしてこなかった日本の若者には、若者力しかなかったのかもしれません。老人力を欠いた日本人青年が変わってきたのだとみると、良いことのように思えます。「青年よ老人力を抱け。」
===== 引用はじめ
一つぼくが思ったのは温泉ブームだ。もう六、七年も前になるだろうか。温泉にひたる趣味がじわじわとブームになってきた。
温泉といえば昔から老人のもので、もしくは病人が湯治に行ったりするもので、元気一杯の若者が堂々と行くものではない。
と昔は思われていたけど、それが老人はおろか、中年はおろか、若年層にもじわじわとブームになってきたのである。
青年よ大志を抱け。
といっても、温泉につかっているんでは、もはやいうだけ野暮というもの。もうそのときすでに、
青年よ老人力を抱け。
という暗黙のメッセージが広がりはじめていたのではないか。
===== 引用おわり
前回は、
(K1536)
理屈の正しさ よりも、 自分の感覚 / 「
老人力 」(12)
http://kagayakiken.blogspot.com/2021/07/K1536.html
<出典>
赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.95
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