【 読書 ・ 老人力 】老人力は味わいを生む力。だから古くなってダメになればそれはみんな老人力、というわけではない。古いが故の快さ、人間でいうとボケ味、つまりダメだけど、ダメな味わいというのの出るところが老人力だ。
著者は「ぼくは長年シャープペンシルを使っているが、」として、「中心部ではその溝が消えるほど擦り減っている。横から見ると明らかに指の当たる表面が湾曲していて、そのゆるやかな曲面はなかなか味わいがある。」と言う。
===== 引用はじめ
物体にも老人力がついてくるのだ。マイナスの力が作用して、それが独特の味わいになってきている。
この感触から明らかになるのは、老人力は味わいを生む力だということ。だから古くなってダメになればそれはみんな老人力、というわけではない。古いが故の快さ、人間でいうとボケ味、つまりダメだけど、ダメな味わいというのの出るところが老人力だ。
===== 引用おわり
物体でいうと、良いものと悪いものの差は、使っていて出てくる。百均で売っている品は、使ってすぐ捨てるにはよいが、長期間使うのには適さないようだ。例えば、洗濯ばさみを買ったが、見た目はよいが、使うと光劣化ですぐだめになったことがあった。
人間も年を取って、単に「皺だらけの古い人」になる人もいれば、「老人力のある人」になる人もいる。
老人と呼ばれる齢になった私にとっては、冷酷なことだ。
前回は、
(K1691) 佗び力、寂び力は、物体の老人力 / 「 老人力 」(32)
http://kagayakiken.blogspot.com/2022/02/K1691.html
<出典>
赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.163
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