死を直前にした終末期のがん患者らを精神的に支えようと、医療現場に僧侶が入る「仏教緩和ケア」が日本と台湾で注目されている。その先進地域とされている台湾に、日本の医療・宗教関係者が視察や研修に訪れている。
(1) 台湾大附属病院
台湾大の付属病院が養成を担い、緩和ケア病棟に僧侶を常駐させている。医師らは仏教への造詣が深い。台大病院の陳慶餘名誉教授は「患者が安心して最期を迎えるには『仏性』(仏になれる素質)を養うことが必要。僧侶にはそれを引き出す役割がある」と指摘する。
(2) 大悲学苑
台大病院の緩和ケア病棟に常駐する僧侶や看護師らが13年に独立開業した。いわば訪問看護ステーションの僧侶版である。
自宅で最期を迎えるために退院した患者らに継続して寄り添う。
台湾には「善終」という死生観に基づき、故郷や自宅で死を迎えないと死後に先祖に会えないという風習がある。このため、入院治療していても回復の見込みがなくなると、退院する患者が多いという。
日本では、住み慣れた場所で人生を全うしてもらう「地域包括ケアシステム」の構築を国が掲げている。
生死にまつわる苦悩を、地域でどう受け止めるかは日台共通の課題だ。
<出典>
(K0473) 先進地域の台湾から仏教緩和ケアを学ぶ <臨死期>【関西から世界を読む】 産経新聞(2018/08/01 夕)
添付写真は、この紙面より
① 日本と台湾で養成される「仏教緩和ケア」の宗教者
② 台北市の台湾大附属病院を視察し、がん患者のケアに当たる日本の僧侶(左)。常駐する尼僧と主治医らが見守った
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