2018年8月28日火曜日

(K0484)  安楽死 / (4) 日本・日本人の場合 <臨死期>

 
 これは、以下の投稿の続きである。

(K0477)  安楽死 / (3) 進歩? 世界標準? <臨死期>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/08/k0477-3.html
 


 安楽死を考える時、「先進国のオランダがこうなっているのだから、日本もこうすべきだ」という発想は好ましくない。「先進的であるべきだ・遅れてはいけない」とか、「世界標準(グローバルスタンダード)にあわせるべきだ」というのは、やめておこう。
 

 安楽死を考えるとき、ポイントが3つあるのではないか。

   日本・日本人に相応しいあり方はどうか
   意識がどんどん変わっているので昔の通りがよいとは言い切れない
   今後どのような日本・日本人に変わっていきたいのか
 
 総合的に考えて方向付けることが必要だろう。その結果として「たまたま」世界標準と合致していたのなら、それはそれで結構な話だ。
 


 人の生き方に関することなので「こうあるべきだ」と決めつけるのはよくない。一方、「ここまでしてはいけないよ」という規制も必要だろう。「安楽死を認めない」という取り決めもありえる。ある範囲を決め、その範囲内では、個人の自由裁量を広く認める。
 

 オランダを参考にして考えることはよいことだ。あくまで参考にするのであって、真似をするのではない。そのためには、オランダと日本の違いをしっかり見ておく必要がある。
 
(1)  オランダの自由の欲求
(2)  オランダの保険制度
(3)  日本人の特質  ~ 弱い個人主義
 

【展開】
 
(1)  オランダの自由の欲求

===== 引用はじめ
 自分の生命は自分で決める-オランダ人のあくなき自由の欲求はこの国の歴史に根ざす。
 17世紀、カトリック王政に抵抗して共和国として独立。宗教に縛られない自由貿易国として成長し、世界金融の中心地となった。「他人に迷惑をかけない限り、個人の自由を尊重すべきだ」という気風は欧州でも特に強い。
===== 引用おわり
 

(2)  オランダの保険制度

===== 引用はじめ
 オランダの安楽死法は、だれもが公平で高度な医療を受けられる保険制度があるから可能だ。貧富の差で医療や介護の水準が決まる国では、患者が「家族に迷惑がかかる」と考え、死を求める危険がある。
===== 引用おわり
 

(3)  日本人の特質  ~ 弱い個人主義

 「日本人の弱い個人主義」。これ自体は良いことでも悪いことでもない。日本人の特質だ。
 オランダ人が孤独になって安楽死を選ぶとしても、それはオランダの課題だ。日本人は、支え合うのが得意だ。孤独にならないようにして安楽死を選択しなくてすむようにしていくという姿を目指そうとするとき、難しい課題ではあるが、日本人はオランダ人より、はるかにゴールに近いと思う。
 


<出典>
三井美奈、安楽死 揺れるオランダ
【特派員発】  産経新聞(2018/07/20)
 
安楽死どこまで 認知症・老いの孤独…広がる「死の権利」要求 オランダ・三井美奈
https://www.sankei.com/world/news/180722/wor1807220001-n1.html

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