もしも「進歩」というものがあるなら
(1) 尊厳死も、安楽死もだめ(日本)
(2) 尊厳死はよいが、安楽死はだめ(イギリス、フランス)(3) 安楽死もよい(オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、スイス)
と「進歩」していく。
さらに、安楽死にも「進歩」がある。
①
年齢制限の緩和(オランダは12歳以上、ベルギーは年齢制限なし)
②
医師の関わりの緩和(スイスでは、医療手続きが不要)③ 「人生はもう無意味」でも安楽死できる(オランダで係争中)
「進歩」があるなら、先に進む方が「進んでいてよい」、先に進まないのは「遅れていてわるい」ということになる。おかしいのではないか。どこかに、(様々な考え方の人がいるので)「正しい」とは断言できないが、「好ましい点」(中庸)があるのではないか。
また、「欧米では…と進んでいるが、日本は何をしているのだ!」となりがちだが、欧米と日本とは同じでなければならないのだろうか。違う。
尊厳死・安楽死問題においては、
A)
進歩とか先進的だとかの概念を導入すべきではない
B)
世界標準(グローバルスタンダード)という概念を導入すべきではない
「進歩的文化人」は、気楽なものだ。本当にそれがよいかどうか自ら判断せず、「日本は駄目だ。欧米のようにならねばならない」と言っておけばよい。
しかし、A)
B)の立場に立つなら、「では日本ではどうあるべきか」「正しいのは何か。何故それが正しいか」を自分で考えて、世の中に説明し、受け入れてもらえねばならない。「進歩的文化人」は、そのような矜持も、意思も、能力もない人たちではないだろうか。
日本尊厳死協会の見解
===== 引用はじめ
尊厳死とは、① 不治で末期に至った患者が、
② 本人の意思に基づいて、
③ 死期を単に引き延ばすためだけの延命措置を断わり、自然の経過のまま受け入れる死のことです。
本人意思は健全な判断のもとでなされることが大切で、尊厳死は自己決定により受け入れた自然死と同じ意味と考えています。
===== 引用おわり 箇条書き形式に変えた
オランダの安楽死の条件
===== 引用はじめ
① 患者が自発的に要求② 苦痛が耐え難く改善の見込みがない
③ 医師による十分な情報提供
④ 医師、患者が「他に代替手段がない」との結論に達する
⑤ 複数の医師による診断
⑥ 処置後に万全の医療ケアを行う
==== 引用おわり
尊厳死と安楽死の違いがあるので比較はできないが、オランダの安楽死の定義では6項目中5項目は医師が関与する。医師が決めるのが本当によいのか。日本の尊厳死では、医師の関与が少ない。
<出典>
三井美奈、安楽死 揺れるオランダ【特派員発】 産経新聞(2018/07/20)
安楽死どこまで 認知症・老いの孤独…広がる「死の権利」要求 オランダ・三井美奈
https://www.sankei.com/world/news/180722/wor1807220001-n1.html
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