2020年11月22日日曜日

(K1302)  出生数が激減すると何が起こるか <少子高齢化>

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「出生数は低水準カーブを描く」ため、①「おおむね20年後に勤労世代(2064)が不足する」②「将来的な内需の縮小ヘ」③「世代間の支え合いの社会保障制度に影響する」ので、「政策の強化が急がれる」

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1.   出生数は低水準カーブを描くこととなる

 出生数急減は、一過性ではない。少子化の要因は、過去の少子化で女児の数が減り続けてきたことにあるためだ。

 子供を産める年齢の女性数が想定より早く減ってしまったならば、出生数は低水準カーブを描くこととなる。45年の年間出生数は約591000人にまで減る見込みである。

 

2.   おおむね20年後に勤労世代(2064)が不足する

 出生数の減少がさらに深刻なのは、おおむね20年後に勤労世代(2064)の不足として表れるためだ。

 19年の勤労世代は69252000人だが、死亡数が想定通りに推移した場合、40年までに1414万人減る。これは当初の推計より31万人ほど少ない。50年には、当初の推計との差は158万人となる。

 当初の推計との開きは、年々大きくなり、60年には268万人ほど少ない水準に落ち込む。このまま少子化の加速が止まらなければ、各産業の人手不足も想定以上に深刻化することとなる。

 

3.   将来的な内需の縮小ヘ

 勤労世代は中心的な消費者でもある。当初の推計との開きは、その分だけ国内マーケットが縮小するということだ。

 年々、若い世代が少なくなるので、ベビー服や学用品といった子供向けの商品やサービスを扱う産業は20年を待たず影響を受ける。

 やがて大学や洋服などのファッション、住宅など若い世代を主なターゲットとしてきた産業に次々と波及していく。

 

4.   世代間の支え合いの社会保障制度に影響する

 さらに大きな影響が避けられないのが、世代間の支え合いの社会保障制度だ。少子化が進んでも高齢者数の増加傾向は当面変わらないためだ。高齢化率はより上昇する一方、若い世代が想定より減るので財源確保がなおさら困難になる。

 

5.   政策の強化が急がれる

 少子化の加速が将来にわたってあらゆる分野に打撃を与えることを考えれば、不妊治療への

支援だけでは不十分だ。

 妊娠や出産に関する感染不安を取り除くサポートや、若者の雇用や収入を支える政策の強化が急がれる。

 

 

<出典>

 客員論説委員・河合雅司、「2021年、75万人程度の可能性 コロナで出生数激減へ」

【日曜講座 少子高齢時代】産経新聞(2020/11/15)

https://special.sankei.com/a/column/article/20201115/0002.html

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