2019年9月20日金曜日

(K0872)  ご近所の家事をお手伝いに見る地域支援の変質 <地域の再構築>

 
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近すぎず、遠すぎず、そんな微妙な距離感。地域の支え合いは、直接型から間接型に変質せざるをえない。子育て支援と高齢者支援をリンクさせることが、その間接型の支え合いを持続させるキーになるのではないか
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(1)  「ふたばサービス」とはどのようなサービスなのか
(2)   支援会員の枝光由希恵さんは、何故はじめたのか
(3)   支援会員の枝光由希恵さんは、何故続けているのか
(4)   変質する地域の支え合い
(5)   持続する条件
 

【展開】

(1)  「ふたばサービス」とはどのようなサービスなのか
 社協が区内の高齢者や妊婦などから家事のサポートや通院の付き添いなどの依頼を受け、支援会員に行ってもらう助け合い事業だ。利用者は1時間につき1300円を支払い、そのうち1200円が支援会員に活動費として支払われる。
 
(2)  支援会員の枝光由希恵さんは、何故はじめたのか
 枝光さんと夫はともに地方出身。近くに頼れる親類もおらず、子育て中に助けになるものはないか区報で探していたところ、社協の仲介で子育ての手伝いをしてほしい人と手伝いをしてくれる人がつながる子育て援助活動を見つけた。
 「幼稚園の送迎をお願いできたし、地域の児童館にも子育てを助けてくれる高齢の人のサークルがあった」。助けてくれる地域の人の存在が心強かった。子育てが一段落し「助けられた分、自分も助けになりたい」と社協の活動を調べ、高齢者の生活を支援するふたばサービスを見つけた。
 
(3)  支援会員の枝光由希恵さんは、何故続けているのか
 テレビが映らないという高齢者のリモコンを調整した。止まっていた時計を動かした。新しいオーブンレンジの使い方を教えた。そのたびに「ありがとう」「あなたは何でもできるね」と喜んでもらえる。
 「普段の生活では自分のだめな部分に目が行きがちですが、お礼を言われると救われた気になる。遠方でなかなか介護できない親への罪滅ぼしというか、親にできない分を地域でやっているというか…」
 
(4)  変質する地域の支え合い
 近すぎず、遠すぎず。そんな微妙な距離感が地域を支えている。
 (私の意見): 地域の支え合いが、直接型から間接型に変質せざるをえないのではないか。直接型とは、顔見知りのまさに近所の助け合い。「ふたばサービス」は間接型。サービスを提供する人と受ける人とは元々は顔見知りではなく、社協を通じて出会った。遠くから来ているとは思えないので、「地域の支え合い」といっても構わないだろう。直接型が崩壊していき、補えるのは間接型だろう
 
(5)  持続する条件
 (私の意見): (間接型)地域の助け合いが持続するためには、需要と供給の両方が必要だ。需要(支えられる人)は増えていくばかりで、供給(支える人)の方が心もとない。
 枝光由希恵さんが、供給(支える人)に入った背景に二つの循環がある。
   子育てが一段落し「助けられた分、自分も助けになりたい」
   遠方でなかなか介護できない親への罪滅ぼしというか、親にできない分を地域でやっている
 子育て支援(子育てで助けられた)と高齢者支援(高齢者を助ける)とが、枝光由希恵さんの中でリンクしている。
 このリンクを、組織の中で構築することが、これから必要になるのではないか。
 

<出典>
ご近所の家事をお手伝い「ふたばサービス」 助けられた分、自分も
産経新聞(2019/08/29)
https://www.sankei.com/life/news/190829/lif1908290009-n1.html

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