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「認知症になったら、すべての記憶がなくなる」訳ではない。前向性忘却や逆行性忘却などの理屈を知っていると、認知症の理解が深まる。回想法で進行を遅らせることができる。「今」という時を生きることもできる
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1.
「認知症になったら、すべての記憶がなくなる」訳ではありません
2. 時間軸で追うと、4つの段階があります
2.1. A(○)残された記憶
認知症になっても子供の頃を覚えている人が多くいます。認知症で海馬がダメージを負って新しいことを記憶できなくなっても、古い記憶は大脳皮質にあるので保たれます。ただ、認知症が進むと、より新しい方から記憶が消えていきます。より昔のことが記憶に残りやすいといえます。
2.2. B(×)逆行性健忘
逆行性健忘は、認知症発症以前の情報の記憶障害です。認知症発症時には覚えていても、認知症が進むと大脳皮質もダメージを受けるようになり、より新しい記憶から健忘していきます。
2.3. C(×)前向性健忘
前向性健忘は、認知症発症以降の情報の記憶障害です。認知症が発症すると、海馬がダメージを受け、新しいことを覚えられなくなります。そのため、認知症発症以後の記憶は残りません。
2.4. D(○)「今」という時を生きる
認知症になっても、「今」という時を生きることはできます。記憶を保持できる時間はだんだん短くなります。10分間の間に何回も同じ話が繰り返されるなら、その人が記憶を保持できる時間が10分以内だということです。重症化すると、一連の話をしていても、長くなると最初に行ったことを忘れてしまうので、一貫した話ができなくなります。
3.
いくつかのトピックス
3.1. 回想法
回想法とは、認知症のリハビリテーションに用いられる手法の一つです。会話しながらその方の人生を振り返ったり、写真や映像を見て過去を思い起こすことで、気持ちの安定やコミュニケーションの活性化に繋がります。
残された記憶で回想法が出来ます。回想法をすると脳が活性化するため、逆行性健忘症の進行を抑制できると言われています。
3.2. 取り繕い、作話
認知症の方にはしばしば正しい答えをさも知っているかのように取り繕ってしまう行動が見られ、病状の進行発見が遅れたり、ケアする人々をいらだたせたり怒らせてしまったりするケースがよくあります。
抜け落ちた記憶の穴を埋めるため、作話することもあります。話を聞いていると矛盾が起こってくるのですが、本人にとっては実際にあったことです。3.3. メモ帳
自分が認知症であるという自覚のある人の中には、「今」という時を生きようとして、その場でメモをとる人もいます。今日起こったことは明日には忘れてしまうのですが、メモを見る習慣ができていると、翌日にメモで確認できます。
認知症当事者が講演するときは、その日にメモを見ることにより講演に行かなければならないことを把握し、作っておいた駅までの詳しい地図を見ながら駅までたどり着き、さらにメモを見ながら、会場まで行きます。認知症になっても、上手にメモを使って、一人住まいできている人もいます。
3.4. まだら認知症
まだら認知症は、病気の種類ではなく認知症がまだらにあらわれる症状のことです。 脳梗塞や脳出血が原因で起こる脳血管性の認知症の代表的な症状で、「できる時とできない時がある」ことが特徴です。
認知症状態の時に自分の排便をもてあそび、認知症を脱した時に、バラまかれた糞尿は自分が汚したものと気づくこともあります。本人にとっては、とても苦しい時期です。認知症が進行して「まだら」でなくなると、ずっと記憶のないままになるので、苦しさが和らぎます。
<出典>
認知症の進行のしかた|中核症状と周辺症状
https://kaigo.homes.co.jp/manual/dementia/symptom/前向性健忘
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/前向性健忘
脳はこうして記憶する
http://www.scj.go.jp/omoshiro/kioku3/kioku3_1.html
「今」という時を生きる
http://www.e-65.net/mylife/category08_6.html
認知症リハビリ|いきいきとした心を取り戻す「回想法」
https://kaigo.homes.co.jp/manual/dementia/care/Reminiscence/
「取り繕い反応」はアルツハイマー病の特徴的なコミュニケーションのパターン
https://www.eurekalert.org/pub_releases_ml/2018-06/ku-4060618.php
まだらぼけ認知症とは
https://www.roujin-homes.jp/guide/kaigo/madaraninchisyo/
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