2019年11月18日月曜日

(K0932) 「在職老齢年金 月51万円超で減額」の効果 <高齢期の家庭経済>

 
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在職老齢年金制度について、65歳以上の減額基準の月収を、現行の「47万円超」から「51万円超」に引き上げる案がまとまった。高齢者には良いニュースだが、もっと積極的に上げないと経済効果は出ないだろう
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===== 引用はじめ
 厚生労働省は12日、働いて一定以上の収入がある人の厚生年金を減らす在職老齢年金制度について、65歳以上の減額基準の月収を、現行の「47万円超」から「51万円超」に引き上げる案をまとめた。13日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会に提示する。
 減額基準の引き上げは高齢者の就労を促進させるのが狙い。同制度をめぐっては、かねて高齢者の勤労意欲の減退につながっているとの指摘があった。
===== 引用おわり
 
 厚生労働省は、実情を分かっていないと思う。
 
 例えば、時給1,000円の仕事があったとする。65歳で年金をもらっている人が、雇用主から「月50時間働いてください」と言われたら、「いえいえ、もらえる年金が減るので、ひと月47時間にしてください」とお願いをしていた。それが「ひと月51時間にしてください」に変わります。
 たとえば月2,397時間分の仕事をかかえていた会社は、従来なら月47時間働く51人と契約していた(2397/47=51)。ところが51時間働いてくれることになったので、契約するのを47人に減らす(2397/51=47)。つまり、4人削減します。交通費支給などしていたら、確実にこちらの方が経済的だし、少ない方がやりやすい。「就労を促進させるのが狙い」は外れて、雇用は減る、つまり、働く人は減ると思います。
 

===== 引用はじめ
 厚労省は先月、賃金と年金の合計額に関し、減額基準を「62万円超」にする案を提示したが、比較的収入が高い高齢者も減額対象から外れるとして、「高所得者優遇だ」などと与野党から反発の声が上がっていた。これを受け、厚労省は現役世代の賃金と年金(報酬比例部分)の平均額を基に当初案を修正した。
===== 引用おわり
 
 「与野党」は、実情を分かっていないと思う。
 
 47万円から51万円なら8.5%アップ。47万円から62万円なら32%アップ。随分インパクトが違います。「働いても47万円どまりだ」と関心がなかった人が、働いてみようかと思うかもしれません。また、雇用主にとっても、62時間働いてくれる方が使いやすいので、積極的に高齢者の雇用を考えるかもしれません。つまり、大きなインパクトを示すことで、高齢者雇用市場で需給共に増える可能性があると思います。
 そもそも、年収744万円を「高所得者優遇」といじめる必要はないのではないでしょうか。彼らは税金をより多く収め、また生活に余裕ができると消費が増えると思います。働けるうちは働きたいという人が、増えるのではないでしょうか。お金だけの問題ではありません。「まだ社会に役立つことができる」と元気になるかもしれません。そもそも高給を取れるような人がどんどん仕事をしてくれるのは、よいことだと思います。「小出し」はよろしくないでしょう。
 

<出典>
在職老齢年金 月51万円超で減額 厚労省、修正案を提示へ
https://www.sankei.com/politics/news/191112/plt1911120004-n1.html
産経新聞(2019/11/12 )
 
添付写真は、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191112/k10012173601000.html

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