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がんの治療を拒否し緩和治療のみを受け入れた母を、私が主治医として看取りました。がんの診断後、化学療法を受け、治療の効果はあったのですが、最終的には母の強い意向で、積極的な治療を中断しました
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人生の最後をどう選択するのかは、医療が進み選択肢が増えているだけに難しい課題です。
A)
治療を拒否したケース
人生の最後は、その人の選択が尊重されるべきだと私は考えています。
--治療の可能性が残されていたとしてもですか
そうですね。母の場合、家族の私としては治療を継続してほしかったのですが、本人が強い意志で治療拒否を選択した以上、それを尊重しました。無理に治療を継続したら、人生の最後に本人を苦しめる可能性があるからです。
B)
治療を受け入れたケース
「つらい治療を受けないことも考えている」との相談でした。黙って彼女の意見を聞き、思いを共有しました。そのうえで、私は「病気には治療法がないケースもある。あなたの病気には治療法がある。もちろん治療しない選択肢だってあるけれど」と伝えました。今は、元気に仕事も子育てもしています。
病院では母やその30代の女性のような迷いがあっても時間をかけてともに悩むことが難しい。また、人生の最後において自宅などのように家族が自由に出入りできるのは病院では緩和ケア病棟ぐらいです。こうした病院で7割以上の人が亡くなっているということは、多くの人がその人らしい人生の選択をできていない可能性があります。私は終末期医療を志す中で、自宅のほうが終末期の時間の自由度が高いと感じ、その方らしさが保たれると思い、在宅医の道を選択しました。
<出典>
人生最後の選択、意思尊重を
【一聞百見】産経新聞(2020/06/11 夕 )
【一聞百見】病院か家か 人生最後の選択に向き合う 在宅医師・尾崎容子さん
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