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心に刺さったケアワーカーの女性の言葉がある。「(私たちの仕事は)右も左もわからない不安なときに方向を示す灯台になることです」。昼間は自分の意思を言わない入所者も、夜中は気持ちを吐露することがある
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前回からの続き。
こぶしを天に突きあげる男性、額縁の中で優しく微笑む女性…。ポートレートのモデルはプロに見えるが、実は全員が介護現場で働く介護職らだ。写真をモノクロで撮影したのは、色がもたらす情報をそぎ落として、介護職の内面を伝えたかったからだ。介護の魅力を発信するプロジェクト「KAiGO PRiDE(介護プライド)」をプロデュースするインド出身のクリエイティブ・ディレクター、マンジョット・ベディさん(51)が撮影した。
「広告は課題を解決するため、言葉や写真、映像といったコンテンツの力を使う。約30年間、広告業界にいましたから、クリエイティブの力で介護の課題解決の役に立ちたかった」とマンジョットさんは話す。
令和元年、熊本県内3か所6回に分けて写真、動画撮影を行った。呼びかけに応じたケアワーカーらは最初、緊張でこわばっている。それをインタビューしながらほぐして撮影するのに一人45分~90分かけたという。
心に刺さったケアワーカーの女性の言葉がある。「(私たちの仕事は)右も左もわからない不安なときに方向を示す灯台になることです」。昼間は自分の意思を言わない入所者も、夜中は気持ちを吐露することがある。夜中に入所者が起きた気配でそばに行くと、ほっとした表情で「ありがとう」と言われたという。
「介護には夢がある。カッコがいいという意味は見た目ではなく、優しさであり、心。KAiGO PRiDEの『i』を小文字にしたのは『私(I)』と『愛』をかけています」と話す。
東京都品川区や世田谷区、山口県などで予定していた写真展は、新型コロナ感染拡大の影響で延期になったが、全国にプロジェクトの輪を広げていきたいとしている。
<出典>
【ゆうゆうLife】 産経新聞(2021/04/19)
https://youyoulife.jp/human/4224/
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