2021年4月21日水曜日

(K1451)  高齢化で崩壊の危機。救急体制 <少子高齢化>

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1人暮らしの高齢者が増え、具合が悪くなると自力で医療機関に行くことができず、やむなく救急車を呼んでいるケースが相当数含まれるとみられる。高齢化が進み、不適切な利用の割合はさらに押し上げられるだろう

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 消防庁の「救急・救助の現況」(2020年)によれば、救急車の利用は増加傾向にあり、19年の出動件数6639767件と搬送者数5978008人はいずれも過去最多となった。

 注目すべきは、搬送者数のうち65歳以上の高齢者が3589055人で60.0%を占めたことだ。1999年は36.9%であり、20年間で23.1ポイントも伸びたこととなる。

 

 消防庁によれば、年齢が高くなるほど搬送率は高まる。とりわけ、75歳以上が上昇する。2019年に搬送された高齢者のうち、4分の3にあたる2662412人は75歳以上(全体の445%)だ。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、総人口に占める75歳以上の割合は拡大していく。30年頃には国民の5人に1人が75歳以上となる。今後、搬送者の急増が見込まれるということである。

 さらに、1人暮らしの高齢者が増え、具合が悪くなると自力で医療機関に行くことができず、やむなく救急車を呼んでいるケースが相当数含まれるとみられる。高齢化が進むにつれて、不適切な利用の割合はさらに押し上げられるだろう。

 救急隊員の確保は追いつきそうにない。「消防自書」(20年版)によれば、出動件数は10年前と比べて29.6%増加したが、救急隊数は6.6%増にとどまる。すでに需給バランスが崩れ始めているということだ。

 

<出典>

河合雅司、「高齢化で救急需要増大 救命率の向上へ効率化図れ」

【日曜講座 少子高齢時代】 産経新聞(2021/04/18)

https://special.sankei.com/a/politics/article/20210418/0001.html

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