老人力というのはなかなかつかみどころのないエネルギー概念で、これまで発見されることなく人類に作用しつづけてきたわけである。その作用が多くの場合、ボケだとかヨイヨイだとかいわれて、むしろ嫌われてきたのは、人類史の悲哀というものだろう。
老人力というのをタンスの奥に仕舞い込んだまま出さない人がいる。ライカのように後生大事にというんじゃなくて、反対に恥しいものとして隠し込んでいる。それはいろいろと人ごとに違うもので、その話を聞くのがまた面白い。
赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.217 ~ P.218
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